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紙とペンだけではじめる心のデトックス

この記事は賞味期限切れです。(更新から1年が経過しています)

紙とペンだけではじめる心のデトックス

このブログを訪れるような方々は、「ペンで紙に文章を書く」という行為にはあまり縁がないかもしれません。 ですが、だからこそ、今その習慣を見直してみるべきかもしれません。

TL;DR

  • ノートとペンを買ってこよう
  • 毎朝1ページずつ、文章で埋めよう
  • そのノートは誰にも見せてはいけないし、自分も読み返さない

まえがき

この記事のアイディアの源泉には参考図書(後述)があります。 有名な本なので、ご存知の方も多くいらっしゃるでしょう。 その書籍を読んで実践してみたところ、非常に効果的という事を身をもって確認したうえで、より広く知らしめたいと思った次第です。

ただし、本記事の内容は、自分の体験をわたしなりに咀嚼・解釈して読み替えた物です。 ここに書かれる手法や効果などは全て参考図書に直接因る物ではないことを、先にお断りしておきます。

はじめてみよう

まずはじめに、お勧めしたい習慣はただひとつ、毎朝「ペンで紙に文章を書く」事、それだけです。

その繰り返しが、心に良い効果をもたらします。 ある世界では濁ったソウルジェムに輝きを取り戻す様な、またある世界ではサイコパス色相がクリアになる様な、そういった類いの働きがある、というイメージです。 少し胡散臭く感じはじめましたか?

必要なもの

  • 新しいキャンパスノート
  • ペン
  • 毎朝の30分

前述の通り、必要な物は紙とペンと、毎朝すこしだけこの行為の為に割く時間です。 紙は、キャンパスノート等が良いでしょう。 ペンは書きやすいお気に入りのボールペンでも用意しましょう。 あわせて先行投資はせいぜい500円程度です。

時間は、慣れないうちはもっとかかるかもしれません。 (わたしもはじめた当初は1時間くらいかけていました) 会社にお勤めの方は、ちょっとだけ早起きする様にしましょう。

ルール

ただ紙に文字を書くだけで効果が得られたら苦労はないので、もちろん、ルールが存在します。 もっとも、ルールもなくただ紙とペンを渡されても何をすれば良いのかわからず困ってしまいますね。

  1. 毎朝1ページずつ文章で埋めていくこと
  2. ペンで手書きをすること
  3. どんな内容を書いても良い
  4. 誰にも見せてはいけない
  5. 自分でも過去のページを読み返さない

大切な事は、このノートは「書き捨てる物」だという事です。 記録する為でも、覚えておく為でもない、ただアウトプットして捨てていく物なのです。 その意識で、その前提で書いていきましょう。

実は、「参考図書」においては毎朝書くページ数は3ページとあります。 しかしわたしは1ページだけ書き続けました。 理由は、「参考図書」が英語圏で書かれた物であるということがひとつ。 (日本語は英語に比べてより多くの情報をはるかに少ない文字数で表現できてしまいます) そして、3ページというボリュームは毎朝圧縮率の高い日本語で書き続けるにはハードルが高く、続かないだろうということがもうひとつです。

何を書けばいいのか

「どんな内容を書いても良い」と言われても正直困ってしまいます。 はじめのうちはページを埋めるのにかなりの時間を要するでしょう。

重要なポイントは、自分の脳裏に去来するイメージを、直接、素早くアウトプットする事です。

  • 最近あった嫌なこと / 嬉しかったこと
  • 好きな物 / 嫌いな物
  • やりたいこと、やりたくないこと
  • 面倒な仕事
  • お気に入りの趣味

などなど、切り口は何でも構いません。 慣れてくればそのトリガーから芋づる式に文章が生まれるようになってくるでしょう。 「こんな事書いてて誰かに見られたらまずいのではないか、恥ずかしいのではないか」という事こそ優先的に書いていきましょう。 このノートは誰も、自分自身すら見返すことはないのですから。

検閲官の目を盗む

人は誰もが心の中に検閲官を飼っています。 (検閲官という表現は非常に言い得て妙で、参考図書の翻訳原文ママです) 脳裏によぎったアイディアを文章に出力しようとした時、「そんな事書いてまずいんじゃないの?」「そんな偉そうな事を貴方が書くのか?」「他の人が読んだらどんな評価をすると思う?」などと妨害してくるのが、心の検閲官です。 困ったことに、誰にも見せない前提の手記に対してですら、時折ダメ出しをしてきます。

彼らの目を盗む一番の手段は、速さだそうです。 思いついたそばから、素早く即座に文字に書き出しましょう。

字は丁寧に書く

「素早く」と書きましたが、折角なので字は出来るだけ丁寧に書きましょう。 きっと字が少しずつ綺麗になっていくでしょう。 ついでに、漢字で書けるところはちゃんと調べて漢字で書きましょう。

推定される効能

ノートに文章を書いているだけで、どんなハッピーな事が起こるのか。 ここで書いている効能は、私自身が実践した上で獲得した物を「恐らくこういう理屈だろう」と、心理学をかじってすらいない私が推測した物にすぎず、 必ずしも万人に同様の効果があらわれる事を保証する物ではありません。

理屈はよくわからないけれど私はこうだった。他の人はわからない。

身も蓋もありませんが、端的に言うとこういう事ですね。

しかし、効果の良し悪しは自分をどれだけ騙せるかが肝なのかもしれません。 必要な経費もきわめて少額ですし、ここはひとつ騙されたと思ってはじめてみる事をお勧めします。

心のデトックス作用

毎朝紙に頭の中身をアウトプットする事で、心の中のデトックス(解毒)作用が働き、その後の一日をゼロベースで送る事ができます。

例えば、悩み事や嫌なことがあってその事ばかりに考えがとらわれてしまい、解決策を見いだせないような時に、それを紙に文字で書き出す事で頭の中を整理する解決法があるそうです。そのメカニズムはこのように説明されていました。

  1. 悩んでいる時は、そのアイディアが脳の大部分を占めてしまい、他の事が考えられなくなる。
  2. 紙に書き出す事で、脳は「このアイディアは外部記憶媒体に記録されているので、覚えておく必要はない」と判断して、キャッシュから削除する。
  3. 脳のリソースに空きが出来る為、対応策に考えを巡らせる事ができるようになる。

要するにこういった働きにより、心の中のリソースを解放する事ができるのだと考えています。 リソースに空きを作る事ができれば、その分リラックスして一日に臨む事ができるでしょう。

また、人間の体というのは、何かを体からアウトプットする事に快楽を得るように作られていると聞きます。 大声を出している時、運動してエネルギーを放出する時、排便等の瞬間、性的行為もそうです。体がそうであるように、心もそうなのではないでしょうか。

脳の呼吸

古い情報で圧迫されていては、他の事に回すリソースが無いので同じ事ばかりに考えを巡らせてしまいますが、 脳のリソースが解放されると、その空いたスペースに新鮮な情報やアイディアが湧いて入り込んで来る事ができます。 コンピューターのキャッシュのような説明の仕方になってしまいましたが、実際似たような物ではないでしょうか。

水泳の息継ぎも少し似ていると思います。 水中で空気を吐ききらないと、水の上に顔を出した時に十分な量の酸素を採る事ができません。 そこで、ここではこの働きを「脳の呼吸」と喩える事にしました。

自分自身を探検する

紙に文章を書いていくうちに、思わぬ自己発見に出会う事があります。 例えば、こんな具合に。

  • 友人が成功したので羨ましい。つまりわたしはあの人のような事をやりたいんじゃないかな。
  • あの人が嫌いなんだけど、なぜだろう。わたしが嫌う物とその理由を考えてみよう。
  • やりたい事がある。けどやっていない。どうしてだろう。

自分自身を掘り起こしていくうちに、自分というキャラクターがおぼろげながら形作られていきます。 それを知る事で、少しずつ自分という人間の扱い方が上手になっていくような感覚をおぼえると思います。

特に、一見ネガティブに見える嫉妬の感情というのは重要なヒントになりえます。 羨ましいと感じるという事は、それが欲しい、それがやりたいという事です。 自分のやりたい事が見つからない人にとっては、大事な足がかりになるでしょう。

少し話が逸れますが、わたしは自分自身を自分自身と捉えず、人生という舞台に立ったひとりの役者と考える様にしています。 自分自身はその役者より少し後ろに立って、役者にどのように演じさせるか、また、この役者ならこの場面でどのような行動をさせたいかを考えているイメージです。 使役や制御といった感覚に近いかもしれません。 こういう考え方をしていると、嫌なやりたくない事を乗り切る時に少し気を楽に持てます。 実際にやるのは自分自身ではないのですから。 (そのうち役者から反逆が起きそうですが)

紙とペンである理由

パソコンやタブレットで因って生活をしている方にとっては、紙とペンはいささかアナクロに感じられるかもしれません。 しかし、デジタルへの入力では上に挙げたような効果は得られないか、得られても些少でしょう。

ひとつの理由として、パソコンやタブレットでは脳からの直接的な出力にはならないからではないかと考えられます。 紙とペンがダイレクトに素早く出力できる媒体であるのに対して、デジタルへの入力はそうではありません。 源泉が脳からの出力である事に違いは無いのですが、それが目の前の画面で実体化されるまでにいくつかのプロセスを踏む必要があり、(障壁と言ってもよいかもしれません) 源泉から結果までの距離が遠いのです。 キーボードを叩いたり、マウスを操作する入力行為もそのプロセスの一つです。 それらの手続きに手間取っている間に、あなたのアイディアは検閲官に見つかってしまうでしょう。

もうひとつの理由は、手で書く行為が原始的な創造行為であるという事です。 それ自体がクリエイティブな行為であって、かつ、さらなるクリエイティビティを呼び起こす可能性が期待できます。 ひょっとしたら、初等教育ですら紙とペンをスキップしてタブレットで学習する完全なるデジタルネイティブならばその限りではないかもしれませんが、 それは今後も生まれないか、生まれるとしても遠い未来の事のように思えますし、その未来が来ない事を願っています。

参考図書について

  • 「ずっとやりたかったことを、やりなさい」
    著 : ジュリア・キャメロン
    訳 : 菅 靖彦

この本は、全ての人は創造的になるべく生まれてきているものだとして、 その創造性を呼び起こす為のツールとして「モーニングページ」を提唱しています。 そして本記事は、これを読んで実践したひとりのWebデザイナーの経験談にすぎません。

興味を持たれた方は是非書店で手にとってみてください。 そしてこの記事ではなく、この本に従って改めて実践してみてください。 先行投資が500円から2000円に増えるだけで、より創造的な体験が得られるでしょう。

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